吉野 昇平 展 2016年 , 9/18(日)-27(火) ●25(日)は休廊 11:00-18:00(日祝は17:00まで)

投稿日:2016-09-18 更新日:

Overwrite(nokeitou)
Fresco Giclee print on scratch  210x297㎜   2015

 

                                 

 

『視覚言語としての写真・絵画』加藤義夫(キュレーター/美術評論家)

 今日、人は毎日のように写真を撮影して、Facebookやツィッター、ブログにあげて楽しむ。デジタルカメラが内蔵されたスマートフォンの普及で、新しいコミュニケーションの方法が一気に広がり一般化したともいえる。絵を描くよりも文章を書くよりも簡単で手軽だ。そこには画像が、視覚言語として発達し、展開しはじめた感がある。視覚情報は五感の中で圧倒的に飛び抜けていて、情報の約80%以上を占めると言われている。ちなみに聴覚は10%前後だ。

 今や「写真は言葉」なのだ。その言葉に加工を施すのが、吉野昇平(1984年大阪生まれ)さんだ。スクラッチという引っ掻き傷のような方法で。
吉野さんの記述に「これも一種のマーキングなのだろうかと考えてしまう。」は、
いわゆる、テリトリーという縄張りや居場所の確保を意味している行為ともいえる。自分自身の領域を示すための行為なのだ。その領域とは精神的な意味のテリトリーだ。
 撮影された写真の内容は樹木や草花が多い。優しさに包まれた自然の世界に彼の手が差し伸べられる時、人為が働き絵画化する。筆者が最初に目撃した時は、一瞬、写真かスーパーリアリズム絵画か、判断がつかなかった。
それほど絵画的なのだ。それもそのはず、吉野さんは大阪芸術大学芸術学部美術学科で油絵を学んだ。画家のまなざしが、写真を支配している。

 個展案内状の作品「nokeitou」は、どこまでが写真でどこまでがスクラッチが見抜けない。そしてその写真は、絵画でいうところの地と図の関係が絶妙だ。被写体を捉え写真撮影をして、プリントアウトするまでは、構想の段階に違いない。膨大な量の写真から選びとられたものだけが、次の段階に移行する。プリントアウトされたものにスクラッチを施す段階は、絵画で言うところのドローイングであろう。樹木や草花が持つ自然の形に手を加える。視覚言語をスクラッチすることで触覚的にその存在を確認する行為、そこに自ずと対話が生まれる。それは写真という支持体に描かれた、絵画へのひたむきな態度なのだ。

 

                                      

 

吉野 昇平  Yoshino Shohei 

1984 大阪生まれ 
2007 大阪芸術大学芸術学部美術学科油絵コース卒業 
   大阪芸術大学芸術学部美術学科研究生 
2008 大阪芸術大学芸術学部美術学科非常勤副手 
2012 大阪芸術短期大学部デザイン美術学科非常勤副手

- 個 展 -
2008 Oギャラリーeyes/大阪 
2012 ギャラリー椿GT2/東京 
2016 ギャラリー風/大阪

- グループ展 -
2006 トウキョウワンダーウォール2006 
2013  第8回タグボートアワード 
    SHOHEY×2展 /大阪 橘画廊

 

                                      

 

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